女性にとって出産・子育てだけでなく、夫の転勤や介護など様々な家庭の事情を理由に、働き方を制限される方はまだまだ少なくありません。
「子どもが幼稚園になったらまた社会に出て働きたい」そんなタイミングで、介護が重なり外で働くことが困難になり、在宅ワークをはじめたという川渕さん。
今回は、企業のプロジェクトにてディレクションや業務改善、さまざまなバックオフィス業務を中心に幅広く活躍されている川渕さんをインタビューいたしました。
介護をきっかけに在宅ワークを決意!他に選択肢が無かった
在宅ワークをはじめたきっかけ
わたしのはじめての在宅ワークは、夫の転勤に伴い元々勤めていた企業でリモートワークになったことがきっかけです。
2人目を出産後、子どもがある程度大きくなるまでは家で見たいという気持ちもあったので、下の子が1歳になるころに自宅でできる通信教育の添削のお仕事をはじめました。
下の子が幼稚園に入るタイミングで外に働きに行こうと色々と準備を進めていたのですが、そのタイミングで夫の実家での介護と自分の親の看護をすることに。子育てをしながらの介護に通う日々、外に出て働くことが難しくなってしまったんです。
準備も進めていただけに『外で働くこと』ができなくなってしまった状況に、当時はとても悩みました。 介護は自分の中ではもっと後にやってくる世界だと思っていたので 。
でも『できない』ことにばかり目を向けていても仕方がないので、外で働くことは諦めて『在宅ワーク』をしようと気持ちを切り替えて色々探すことにしました。
家で働きたいと思って在宅ワーカーになったというよりも、私にはその選択肢しかなかったんです。
はじめての案件を獲得
最初の頃は「在宅ワーク」で調べると怪しいものがすごく多くて、それでテレワークを推奨している企業の求人を見つけて、そこに問い合わせてみたんです。でもフルタイムでの勤務希望だったのと、子どもを預けることが絶対条件だったので、その条件だと現状では難しいなと思っていたところ、ビジネスマッチングサービスの『Waris』を紹介されました。
その後も介護をしながら通信教育の添削のお仕事を続け、合間に自分でも色々と在宅ワークについて調べました。介護が少し落ち着いてきたので、「ちょっと仕事の幅を広げていきたいな」と思い、紹介していただいた『Waris』に登録。これが私の在宅ワークの働き方を大きく変えるきっかけとなりました。
当時は東京をメインとされているサービスだったので少しでも出社が必要なものや、フルリモートでもフルタイムの案件には応募することは難しかったです。一部完全リモートの業務委託のお仕事もあったので、関西からでも可能な案件を見つけて応募しました。全体的にオフィスワーク系、ビジネス系に特化したお仕事が多いです。
一番最初にお受けした案件は、スポットで『ものづくり補助金』の申請書を書くお仕事からはじめました。
子育てに合わせて働ける!仕事と子育てのバランスの取り方
在宅ワークのメリット・デメリット
在宅ワークをはじめて、子どもが病気で休んでいる時に「おやすみします」って言わなくても、自分でなんとか調整してやりくりできるのがメリットだなと思います。これは子育て中だけでなく、介護中でも同じように言えるかなと。
娘が電車通学をしているので、雨の日に「駅まで迎えに来て」と言われた時に、ちょっと仕事の合間を見て迎えに行けるのも在宅ワークだからこそですね。
あと東京で働いていた時だったら、片道1時間半かけて通勤をしていたので、毎日3~4時間も通勤に時間がとられていました。そう考えると、 通勤時間がないことも大きな違いだなと思うところです。
逆にデメリットは、ずっと家で仕事をしているだけに「ここでやめよう」と決めていても、どうしても子どものことが間に入ったりして、残務があると夜中にでもできてしまうところですね。
会社は休みなのに、「お休みの間に進めておいたほうがいいかな」と考えてしまったり、プライベートとの仕事の切り替えが難しいところです。仕事の内容によっては、どうしてもスッパリわけるのが難しいこともあるので悩みどころです。
子育てと在宅ワークの両立の工夫
毎朝6時半には娘にお弁当を持たせて送り出すので、朝の5時に起きて始業時間までにできる限り家事を済ませるように意識しています。家事の時間を決めておくことで、途中で「やっぱり掃除しよう」というふうにならないで、ちゃんと時間が分けられるようになりました。
在宅ワークをしていると、途中で子どもに声を掛けられても「ちょっと待ってね」と言い続けてしまい、気が付くと子どもがそーっと居なくなっていたことがあって、逆に子どものほうに気を遣わせてしまったなと反省したこともあります。
申し訳ないと思うんですけど、すぐにはやっぱり対応できない時もあるから、「この日のこの時間はこの子の為に時間を使う」と決めたら、そこは必ず予定を空けるようにしています。
その時その時にフォローはできなくても、できるだけ違う形で気持ちを示すようにしたいなと思っています。
自分の経験がスキルに!相手を思いやる気持ちを大切に
自分のビジネスでの経験がスキルに
商品開発のお仕事って自分達の部門だけでなく、色んな人が関わってひとつのプロジェクトとして動くのですが、フリーランスになってプロジェクト推進などをお手伝いするようになったときに、同じように他の人と協力しながら物事を進めていく場面が多くありました。
会社員として働いていた当時は意識していなかった部分ですが、全部ひとりで完結できるお仕事ってそんなに多くはないので、結果そういったプロジェクト全体を見るスキルが今のお仕事にも活かされているなと感じます。
スキルって言うと、それこそWEBができるといった何か特別なことじゃないとダメという風に思い込んでいたんですけど、そうじゃないこともあるんだなと気が付きました。例えばお仕事上でのやりとりとかも、職種とか業種とか関係なくて、そういったビジネスでの経験もスキルのひとつなんだなって。
そういったビジネススキルって、お仕事の経験があれば皆さん普通に持っているところだと思うんですけど、でも実は大切で役に立つ立派なスキルだと思います。
お仕事で心がけていること
お仕事って対会社であったとしても、結局は人と人だと思うんですよね。やっぱり人としてあたりまえのことは絶対に守ることですね。納期とかももちろん大事ですが、相手の事を思いやる気持ちだとか、相手の今の状況を想像するだとか、そういうところを心がけることで気づけることがあるかなと。
人として信頼してもらえるように、相手のことも信頼できるようにってところを一番大事にしたいです。
お仕事の中でPowerPointで資料を作ることもあるんですけど、普段から相手が何かを話している時にちょっと気になった言葉とかがあれば自分で書き留めておくようにして、資料を作る際に見返して参考にしたり。
その人とのやりとりの中から「何が書きたかったのか」「どういったことを伝えたかったのか」という気持ちや想いの部分も理解できたらいいなと思っています。
在宅ワークナビと出会い、WEBの世界にも挑戦!
スキルアップ方法
自分の専門性に関わるような勉強の場合、今から資格を新たに取得したからと言って、何か新しく仕事に繋がるといったことはあまりないのですが、自分の知識をアップデートするために資格試験を受けたりしています。
そうでもしないと、大人になってからの学習時間の確保って難しく、なかなか情報のアップデートができないので・・・。
試験日が決まれば、その日までの期間に合わせて勉強する時間を逆算して取り組めるので、試験結果にはこだわらず学習目的で資格試験を受けています!
SNS運用に挑戦
もともと私自身もSNSやWEBに興味はあったけど、敷居が高いなと感じて一歩踏み出せずにいたんです。そんな時に『エリアマイスター』を知って、そこで活動されている佐多さんが運営する『在宅ワークナビ』を知りました。
そこではWEB初心者の方に向けて、色んな情報や学習方法を発信されていて「これなら自分でもできるかも!」と、土日の合間に少しずつ時間を当ててスキルアップを目指しました。
今では在宅ワークナビのInstagramアカウントの運用に関わらせてもらい、実案件を通してSNS運用を学んでいます。
様々なプロジェクトに関わっていると、その中でも「SNSでの発信って大事だよね」「SNS広告を出してみたいんだよね」といった話が出ることがあるんですが、結局わかる人がいなくてそのまま話が終わってしまうんです。
そんな時に自分が全部はできなくても、SNSの仕組みを理解していることで「こういうことができますよ」と提案ができたらなと思っていました。
自分がやってみたかったことにマッチしていた部分が多分一番大きいんですが、他のお仕事をするなかでも必要性があり、そのスキルが役に立つことが見えていたので学んでみて良かったなと実感しています。

新しく挑戦する人が明るい目標を持てるように
会社員の頃や在宅ワークをはじめたばかりの頃は、『自分の役割』『自分のスキル』にばかりフォーカスしていたように思います。
最近は少し考え方が変わってきて、新しく入ってきた人が同じような不安を抱えなくてもいいようするには、どうしたらいいのかを考えるようになりました。私自身も、「これでいいのかな」「ちゃんとできているかな」と不安を抱えて自分もやってきた経験があるので。
自分自身の不安がなくなったわけではないんですけど、ステップアップすることでちょっと違う視点も持てるようになったなと感じています。
自分が在宅ワークをはじめた頃に苦労したことや悩んだことで、次に続く人たちが同じように苦労しなくても良いように。小さなお子さんがいる方が「今後こんな風に働きたい」と目標が明るく持てるように。そんな誰かの希望となるような働き方をしたいです。
次にこの在宅ワークの世界に入ってくる人たちのためにも、ディレクション業務を通してビジネスの成功だけでなく、そうじゃない視点も大切にして周りをみて仕事をしていきたいと思っています。
プロジェクト推進支援 / 川渕 雅美
プロジェクトマネージャーとして、企業の業務改善からディレクション、商品開発のサポートや時には音声の文字越しなど、在宅ワーカーとして幅広く活躍されている川渕さん。ご主人と中学校2年生、小学校6年生の2人のお子さんを持つ4人家族。大学院卒業後、調味料メーカーにて商品開発を担当していましたが、ご主人の転勤を機に退職。赴任先で別の調味料メーカーにて再び商品開発部に転職した後に、第1子の妊娠と夫の転勤が重なり、勤めていた企業にてそのままアドバイザーとして業務委託契約をし、出産後もリモートワークで業務に携わる在宅ワーカーに。その後、通信教育の添削のお仕事を経て、2016年からフリーランスとして本格的に活動をはじめる。
こちらの記事は2021年9月現在の働き方です。